この空の下

短いお話

Close to you

youtu.be



小学校の時に
肌が透けるように白くて背が高くて利発な女の子がいた
彼女はちょっと乱暴なところもあったけれど
それは弱い者いじめをする悪い男子に対してだけ

彼女は子役モデルをしていた
子供服の雑誌や商品のポスター
コマーシャルにもたまに出たりしていた

勉強が得意な子ではなかったけれど
運動会では大活躍する子だった

気がつくと彼女のまわりにはいつも
男の子が影のように群がっていた
彼女は群がる男の子達をからかったり
意地悪したりして楽しんだり
迷惑がったりしていた

男の子達は彼女になんでもいいから
かまって欲しかったみたいだった

中には屈強な男子がいて
たまに彼女をからかって
彼女を本気で怒らすようなこともあったけれど
大体はいつも賑やかな笑い声が聴こえていた

学校の帰り道ぞろぞろと男子達が彼女の後をついて回った
彼女は越境していたので電車通学だった
なので時々は学校の帰り
仲良しの女の子の家で遊ばせてもらって
夕方に帰ることがあった

そんな日に彼女が仲良しの女の子の家から出てくるまで
男子達が談合して待っていることがしはしばあった

あらまたあの子たちいるわよ
仲良しの子の母親が彼女をからかったりすることもあった
そして男子達は駅までまたぞろぞろと
彼女の後をついて行くのだった

大人になってからのことだけど
小学校の同級生の女子会があって
その時に彼女にその頃のことを聞いてみたら
男子達の関心が彼女にあることに全く気ずかなかったと言った

当時彼女には関心がある男の子がいた
ところがその男子軍団の中には
彼女の関心のある男の子がいなかった
そんなことがあって彼女は男子軍団に無関心だった

彼女はいつも思っていたそうだ
自分が親指姫みたいに小さくなって
あの人のポケットの中にいて
いつもあの人と一緒にいたい
それが彼女の願いだった

そして彼女が関心を持っていた男の子が今の私の夫だと言われたとき
数々の思い出が走馬灯のように駆け巡って言葉が出てこなかった

彼女はすぐに子供時代のことだから気にしないでねと
ふっと優しく微笑んだ

私はこういう時は何も言わない方が美しいに決まっていると思い
ただ微笑みを彼女にかえしてその場をお開きにした

正直に言えば、彼女は確かに時を経ても輝いていた
それは誰もが感じ取ることができる事だった
作りが違うというのか持って生まれたカリスマ性なのか
黙って座っているだけで絵になる
満たされている人ともいえる
経済的なことではなく存在していること自体について
彼女は満足しているように見えた
彼女は着飾ってはいなかったし
メイクが凝っていたわけでもない
肩にとどくくらいの長さの髪には
多少の白い髪も混ざっていた
シンプルな紺色のワンピースに真珠のネックレスだけをつけて
紺色のハイヒールを履いていただけだった
周りは結婚式かと思うほどの凝りようの中で

それなのにそこにいる誰よりも彼女が一番光って見えた